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2 三木成夫さんの理論-〈胎児の世界〉

 

2 三木成夫さんの理論-〈胎児の世界〉

 ところで、日本で乳胎児のことについて、ぼくがいちばん立派なことをやってるなといいますか、やったなって解剖学者といいましょうか、そういう人がいるんですけれども、2,3年前に亡くなったんですけど、それは、三木さんっていう、三木成夫って、成功の成に夫って書く、三木さんっていう人がいて、その人の『胎児の世界』っていうのが、中央公論新書で出ています。
それは、ものすごく立派な本なんです。その人がいちばんよく、その問題については、詳しくやっているので、詳しくやっているってことと、おあつらえ向きっていいますか、ぼくが考えていっている筋道に、とてもよくマッチする、そういう考え方をしておられまして、それをあれして突っ込んでいくのがいちばん手っ取り早いんじゃないかって、ぼく自身はそういうふうに考えたわけです。
それから、入っていきたいように思うんですけど、第一は胎児の世界なんですけど、これはぼくが、三木さんの本と、それから、ぼくがその手のことを調べるために、いくらかありふれて、ぼくらが読める本っていうのを探したわけですけど、翻訳書なんですけど、2,3あります。それらを統合して、大切なとこだけ書き抜いてみますと、これは、三木さんっていう人自身の発見にかかわるわけですけど、人間の胎児っていうのは、受胎してから36日目に、受胎してからってことは、妊娠してからってこととは違うと思います。受胎してから36日目に、胎児は上陸するっていうことを、三木さんっていう人が、はじめて見つけた、発見したと思います。
上陸するっていうのは、水棲動物的段階だったものが、陸生動物的な段階に移っていくっていうことを、上陸って言ったわけですけど、胎児がお母さんのお腹の中で、素早く、人間の生物期の歴史を通っていくわけです。その場合に、水棲動物、たとえば、魚ですけど、魚の段階から、両生類みたいにして陸上へ上がってくる、そういうのが、ちょうど受胎の36日目から、2日間くらいではじまるっていうことを三木さんっていう人は、確定したわけです。
これは、ものすごく立派な仕事だと思います。どうしようもなく立派な仕事だと思います。発見したわけです。そのときに、胎児の顔は、魚的な顔から、だいたい爬虫類的な顔になっている。で、魚的な心臓が、だいたい左右に隔壁ができるのが、ちょうど36日ぐらい、それから、もうひとつは、このときに、妊娠しているお母さんが、つわりっていうのをはじまるっていうのは、これだっていうふうに、三木さんは言っています。つまり、いかに水棲動物から、陸生動物へ上陸するときっていうのは、いかに大変だったかっていうことは、現在、お母さんがたが、この時期になって、つわりになるっていうことからもわかるように、たいへん生物の歴史にとって画期的なことであって、また、非常に苦しいっていいますか、つらい段階だったっていうことが言えるっていうふうに、三木さんはそういうことを言っています。
ここはものすごく重要な、ひとつのポイントなわけです。なぜかっていいますと、あとでもうすこし詳しく申し上げますけれど、このときに人間の感覚、つまり、目とか、耳とか、口とか、感覚に依存する人間の心の動きっていうものと、それから、内臓に依存する心の動きっていうのがあるわけですけど、大雑把にいうと、その2つ、人間にはあるわけですけど、その2つが分離したときが、このときだっていうふうに考えられます。
分離して、それが結びついてっていいましょうか、関係づけられているっていうようなことができるようになったところが、人間の胎児が上陸するときだっていうふうに言うことができます。ですから、非常に重要なことだっていうことになります。
これは心の世界とか、その成り立ちとか、異常さとか、病気とかっていうのを考える場合に、その内臓の動きによる心の動きっていうのと、それから、感覚的に受け取ることからくる心の動きっていうもののかかわりあいの中に、たぶん、病気とか、異常っていうところの問題が、たぶん、抽出して出てくるんだっていうふうに思われますので、とても重要な時期だって思われます。
あとはもっと感覚っていいますか、つまり、聴覚とか、触覚とか、味覚とか、そういうものですけど、感覚の成立っていうのが、受胎後、5ないし6か月、これで、触覚とか、味覚とかっていうのができる。それから、受胎後、同じ時期ですけど、すこし経った後、耳が聞こえるようになる。だから、だいたい、母親の声も、父親の声も、よく慣れている声っていうのは、ほかの声と分別できるようになります。それから、もちろん、母親の心臓の音、心音ですけど、心音が聞こえるようになるっていうのが、だいたい5,6か月以降だとされています。つまり、このところで、人間の感覚の発生がはじまるわけです。
その感覚の発生っていうのは、いま言いましたように、人間の心の動きっていうものを、あるいは、心の世界っていうのを、2つに大別してしまえば、感覚に依存する心の動きっていうのは、だいたい起源としては、受胎後、5,6か月以降に起源をもっているっていうことがいえるわけです。
それから、もうすこし後になりますけど、だいたい受胎後、7ないし8か月頃、意識が芽生えてきます。それから、やっぱり受胎後、それからすこし経った頃ですけど、REM睡眠っていいますか、ようするに、夢見ている状態と同じような睡眠の深さっていうのを胎児がするようになります。ここのところで、だいたい母親と子どもを関係づけている、栄養の関係とか、心の関係とかっていうのの移り方っていうか、連絡の仕方っていうのは、ここらへんで完成されるっていうふうにされております。

引用:言葉以前の心について

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