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【おむすびinterview】スープ屋 Hygge(ヒュゲ) 吉田 恵美子さん

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今回のおむすびインタビューのお相手は、焼津市で「スープ屋ヒュゲ」を営まれている吉田恵美子さんです。

 

スープ屋 ヒュゲを始めた経緯を教えてください

 「スープ屋ヒュゲ」は、2018年の6月にスタートし、今年で4年目に入ったところです。私は多様な人が集まる場をつくりたいと、実は35歳くらいからずっと思い続けてきたように思います。「多様な人が集まる場」といっても、具体的にどういう場にしたいのか?というのは変遷がありますが、最終的にこの「スープ屋ヒュゲ」という形になりました。

 私は特別支援学校にずっと勤めていました。そこで働く中で、障害がある人と、ない人が接する機会がないことによって、相互の理解が進まない。と感じていました。35歳のとき、富山の「このゆびとまれ」という福祉施設に見学に行きました。障害のある人が働いている場で、面白そう!と思って見学に行ったのですが、そこがまさに「多様な人が集まる場」でした。なによりも印象に残ったのは、入り口に菓子折りがたくさん積まれていて、全国からいろいろな人が見学に来ていて、みんなで作り上げている場であることが感じられました。

 

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店内のカウンター席

どうして「スープ屋」になったのですか?

 どういう場にしたいかと考えた時に、カルチャーセンターのような、多様な人が学び合える場もいいと思ったのだけれど、その場には魅力的なものがなければいけないと思いました。私は食が好きだったから、食かな?と思っていたのだけれど、『命の雫』というドキュメンタリー映画をみて、「スープだ!」と思い、スープ屋というスタイルでやろうと思いました。スープなら年齢も多様な人に対応ができる、季節の自然な野菜も使いたいと思っていたのでちょうどいい!と感じました。

 オープン前は、毎月試食会を開催して、どんな料理を出したほうがいいか?一人でやるにはどうしたらいいか?料金をどうしたらいいか?など、来た人に意見をもらいました。中には、お子さんが好きなスープを持ってきてくれた人もいました。「ヒュゲ」は私の自宅の1階にありますが、みんなのお店になればいいと思っています。お店の机や本棚、飾りものを家族やお客さんが作ってくれたり、本好きなお客さんが、毎月本棚の本をセレクトしてくれています。また、ワークショップやパン教室などもやっています。いろいろな人が、この場を通して関わり合いながら、自分たちがこの店を作っている。と感じられるようなお店になっていけばいいなと思っています。

 

恵美子さんは、ヒュゲを始める前にデンマークへ留学されたとお聞きしましたが、その話を聞かせてもらえますか?

 45歳のときに、秋田県鷹巣町という福祉が進んでいると耳にした場所へ見学に行きました。そこでデンマークのフォルケホイスコーレに留学した方の話を聞く機会がありました。そのスピーカーの一人の方が、59歳の女性でした。その時、「私もいけるじゃん!」と思って(笑)、58歳くらいまで留学のタイミングを狙っていました。

 そして58歳の8月から、デンマークのフォルケホイスコーレに1年留学をしました。フォルケホイスコーレは、18歳以上なら誰でも入学できる学校です。現在は北欧まで広がっているようで、デンマーク国内に約70校ほどあり、それぞれの学校に特色があります。その中でも、私が行ったエグモントという学校は、障害のある学生と、障害のない学生が半分ずつ在籍している学校です。100人がヘルパー学生として働きながら在籍するスタイルの学校でした。障害がある人とない人が全寮制で共同生活するって、どんな感じなのかな?というのが、留学前、一番興味がありました。

 

実際に留学して、共同生活をしてみてどうでしたか?

 先ほども言ったように、デンマークに行く前は、障害のある人とない人の接点がないことで、お互い理解し合えないと思っていたけれど、エグモントに在籍しているヘルパー学生は、日本と同じように、ほとんどの子が、この学校に入学するまでは、障害のある人との接点がありません。にも関わらず、21.22歳くらいの人たちがすごく自然に食事や着替え、入浴の介助までされていて、自然に触れ合っていました。私が留学する前に、考えていたことは少し違ったかも。という印象を受けました。

 

どうしてデンマークの人たちは、自然に触れ合うことができると感じましたか?

 デンマークでは、私とあなたは違うというところから、人との関わりをはじめていると感じました。違いの1つとして障害を認識している。自分がちゃんとあって、その上で、相手に合った距離をはかって、どうやったらお互いが近づけるのか、いろいろと工夫して乗り越えたり、逆に、距離を置いたりしているのだと感じました。特に日本では「障害がある、ない」で人を線引きしがちのように感じますし、障害に関わらず男女や国籍などいろいろな線引きがあると思います。しかし、障害についても、男女や国籍についても、どこかではっきり分けることなんてできないのだと思いますし、人として付き合うためには分ける必要もないのかもしれません。

 デンマークでは、そういうお互いが一人の人としてよりよい関係をつくるために、対話というものが何より大切で、一緒になにかを体験したり、お茶をしたり、そういう時間が人間関係をつくっていくということも学びました。デンマークの人たちは、誰とでも、そういう機会や時間を大切にしていました。

 また、印象的だったのは、子どもの話を大人がすごくきちんと聞くということです。語学という面で、デンマークでは、私は障害者と言えると思いますが、日本人の宗教観など聞かれた時に、日本語でもうまく話せるかわからないことを英語で話さなくてはいけない場面もありました。私が英語が上手でないと分かっていても、みんな一生懸命聞いてくれました。そういう姿勢で聞いてくれると、自然と話したくなりました。文法も適当だけど、どんどん話せるようになっていきました。聞き手がきちんとした聞く姿勢をとってくれると、人って表現したくなるものなんだと実感しました。

 

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厨房に立つ恵美子さん

デンマークでさまざまな学びをされた中で、今後のお話を聞かせてください。

 「多様な人が集まる場」をつくりたいという想いから、これまで様々な経験をしてきたけれど、地域の人たちに一人ひとり違って当たり前だという前提で、それさえ思えば、自然に関わり合うことができる体験をしてもらいたい想いがあります。「スープ屋ヒュゲ」もできて、だんだんと自分のまわりはそういった人が増えてきているように感じています。フラットな関係性の中で、対話を楽しんだり、自然と共にある暮らしを楽しんでいきたいです。自然とつながった生活も、エグモントで学んだことの1つです。やはり、デンマークの人たちは、生活をとても楽しんでいました。

 たいしたことができるわけではないので、自分がまず楽しんでやるのが一番かなと思っています。比較的、余力もあるので、いろんな人と一緒に、自分で気づいたことを実践していきたいと思います。時間を使うことはできるので、自分のできることはなにか?と考えながら、小さなことだけどやっていきたいです。あなたのことも応援しているからね(生まれて半月になる赤ちゃんに向かって)♩

 

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この日はかぼちゃのスープをいただきました



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