昔、寺子屋塾で教えてもらった性に関する本
（ぼくらのSEX 著：橋本治）を今読み返している。
「性」は自分ひとりだけでなく、
パートナー・家族・世間、あらゆるレイヤーで共有されている。
その中で、日々、その違いを感じることはたくさんある。
自分の中で自分の答えをまだ見つけられないことだってたくさんある。
でも、この文章にあるように、
「SEXとはどういうありかたをするものなのか?」なんてことがちゃんと実際的に考えられたことなんて、人類の歴史の中ではまだ一ぺんもないんだって思ったほうがいい。「正しいSEX」というものは、だから、「自分が自分の中にある性というものをちゃんと考えて、"これも正しいSEXだよ"って言えるようになることなんだ」って思ったほうがいい。
という認識で在れたら、
自分自身や目の前のパートナーと
話し合える土台ができるように思う。
実際に僕はこの本を読んで、
SEXについて、避妊について、エイズについて、結婚について、思春期の時のことについて、なんで我が子はちんちんと言いまくるのか、、、、などなど
あらゆる自分の性事情を考えなおす機会を得たように思う。
読み返してみて、こんなこと書いてあったんだと思うことばかりだが、
自分の状況が変われば、
または、いくつになっても、
その年齢や年代、
あらゆる変化で、
自分の性事情は変わってくるだろう。
だから、常に自分の性を感じ、
「性」について考え、
そのときそのときの自分なりの「正しさ」を
求めていけばいいのだと思った。
この本はどういう本かというと、一応は「性教育の本」です。
だから、この本では「正しいSEX」とはどういうものか」ということがテーマになります。でも、「正しいSEX」なんていわれたら、フツーの人はメンくらっちゃう。だって、人間というのは、多かれ少なかれ、自分のSEXのことを「ちょっと恥ずかしくて後ろめたいこと」と思っているものだから。そんなところに「正しいSEX」なんていう言葉が登場しちゃうと、「おまえのやっていることはいやらしいことなんだぞ」って言われてるような気がしちゃう。「正しいSEX」って言ったら、ふつう、「よけいなことはしないで、礼儀正しく節度正しい交際をしましょう(だからあんまりらSEXのことばっかり考えちゃいけませんよ)」というような意味にしか使われないもの。
でも、人間というのは、あんまり人に言えないようなことが、すごーく気になる生
き物なんだね。気になったら、そのことばっかり考えちゃうような。そして、人間と
は、誰だって、自分のしていることが正しいもんだと思いたがっていて、
自分のしていることを「正しい」と言われたがっている。自分のしていることが「正しくないことだ」と思うと、それだけで自分はぐらついてしまって、それまではそんなにまちがってもいなかったのが、グラリとそのまんま違った方向に行っちゃったりもする。
だから、「正しい」ということがとても気になって、なにが「正しい」かを知り
たがる。SEXは人間の生きるためのエネルギーで、人間は自分のしていることの「正
しさ」を知りたがる。だから当然のこととして、「正しいSEX」という考え方は必要
なんだ。
というわけで、この本は、「あなたにとっての正しいSEX」を考えるための本で
す。世間のSEXに対する考え方が「正しい」かどうかはわからない。たとえそれが
「正しい」としても、あなた自身があなたのSEXを考えた時に「あんまり正しいと
は思えない」と言うんだとしたら、それは、世間のSEXに対する考え方と、あなた
自身のSEXに対する考え方との間に差があるということだ。
世間と自分との間にある違いというものを、あんまりこだわらないほうがいい。とい
うのは、実のところ、SEXという行為がどういうありかたをして、どういう5EX
が「正しいSEX」なのかなんていうことは、まだあんまりよくわかっていないことだから。人間というのはけっこうズサンなもので「人間にとって正しいSEXのありかたと
いうのはどういうものか?」なんていうことの答を、まだあんまりちゃんとだしては
いない。「性教育が必要だ」って言われて、みんなそれがわかっていて、でもちゃんとした性教育というのがあんまりないのは、SEXに関してなにをどう教えたらいいの
かってことを、教える側がまだあんまりよくわかっていないからなんだ。
「SEXとはどういうありかたをするものなのか?」なんてことがちゃんと実際的に考えられたことなんて、人類の歴史の中ではまだ一ぺんもないんだって思ったほうがいい。「正しいSEX」というものは、だから、「自分が自分の中にある性というものをちゃんと考えて、"これも正しいSEXだよ"って言えるようになることなんだ」って思ったほうがいい。きみも一緒になって「正しいSEXのための教科書」を作っていくーそれが今の性教育の方向なんだね。
ぼくらのSEX 著：橋本治
