相手にうまく伝わらない、というその気持ちこそが〈自分〉なんだと。自分が深まっていくと同時に、伝わらないという気持ちだって、深まっていく。自分の中で思うことと、誰かに伝わることは全く別のことであって、思っていること、伝えたいことを「言葉」として自分の外に出す。その言葉で表現できることも限られていて、時間も限られていて、そんな中でも話さなければいけない。
なんか、そう思うと「うまく伝わらない」ことを受け入れられて、認められて、逆に「うまく伝わったこと」、「共感してもらえたこと」って、とっても小さな希望なのだと思いました。
この本のタイトルが「ひとり」であることの意味が少しわかった気がしました。
あなたが「自分はひとりだな」と思うようになったのは、自分以外の誰かを意識するようになったからともいえる。人と比べて自分はどこがどう同じで、どう違うのかをいろいろと考えるようになって、自分のことがだんだん見えてきたからでもある。
だとしたら、相手にうまく伝わらない、誰ともわかちあえないその気持ちこそが〈自分〉じゃないですか。自分でもわけがわからない、もやもやしたその気持ちのなかにこそ、自分自身をもっと深く知るための手がかりが潜んでいる。
(15歳の寺子屋塾 ひとり より引用)